CRETから、最新の教育・テストに関する学会レポートをお届けします。
日本行動計量学会第37回大会参加レポート
日本行動計量学会 は様々な分野から研究者・実務家が集まり、人間行動の探究に関する計量的手法の研究・実践を行っています。年次大会における発表内容も多岐にわたり、今年は分析手法を探究するセッションや、調査手法を議論するセッション、心理やマーケティングなどへの応用を紹介するセッション、そして看護・福祉および医療を扱ったセッションなどが開かれました。
教育テストに関するテーマもいくつか発表されています。たとえば、チュートリアルセミナーでは荘島宏二郎氏(大学入試センター研究開発部)が「テスト理論のいま、そしてこれから」と題し、古典テスト理論から項目反応理論、そして荘島氏が2007年に提案したニューラルテスト理論について初心者にも分かりやすい講義をされました。また、通常のセッションにおいては、テスト分析の実践例として、「書く」活動と作文評価の関係についての研究発表があったほか、CRET研究員の張も教科の語彙力とPISA型活用力の関係性について発表しました。さらに、今後の教育テストに求められるものとして、フィードバックに有効なCan-Do Tableの作成、素性の分かっている(パラメータが推定されている)項目を用いて同質のテストを複数生成する技術に関する研究発表もありました。
このほか注目すべきものとして、質問紙調査における回答の選択方法(複数回答項目、強制選択項目、フィルター項目)の違いによる回答率の検討を行った研究があり、今後の質問紙設計において役に立つ内容であると感じました。また、統計教育に関するセッションも立てられており、新指導要領施行に向けて、指導の現場において想定される課題を明確にした上で、どのように対応していくべきなのか議論がなされていました。
来年の第38回大会は、埼玉大学において2010年9月22日~25日の日程で行われる予定です。