CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。
2013年度第5回教育システム情報学会研究会(スマートデバイスによるこれからの教育・学習環境/一般)口頭発表報告
「数学リメディアル教育におけるマンガ教科書とイラスト教科書の印象調査」
2014年1月11日に高知工科大学にて開催された、2013年度第5回教育システム情報学会研究会(スマートデバイスによるこれからの教育・学習環境/一般)に参加し、「数学リメディアル教育におけるマンガ教科書とイラスト教科書の印象調査」と題して、2013年10月にCRET基盤設計研究部門で行った実験の報告を口頭発表しました。
本実験はマンガ教科書に関する継続研究のため、これまでの経過と2013年10月の実験結果を併せて発表しました。
筆者らのこれまでのCRETでの継続研究の結果、マンガ教科書をリメディアル教育で利用することの有効性が示唆されています。参考までに、図1に研究結果の一部を紹介します。マンガ教科書を使って学習することで長期的な記憶の保持が期待されるとした結果です。
図1.各テキストで学習した数学テストの点数変化
(点線は予測である)
このような結果を背景に、筆者らは、実際のリメディアル教育にてマンガ教科書による学習を行う実践研究へステップを進めることにしました。その準備段階として、マンガ教科書を作成しました。この教科書を実践利用するにあたり、2013年10月の実験で作成したマンガ教科書の印象評価をイラスト教科書と比較することを行いました。さらに、アンケート調査により、マンガ教科書に対する大学生の様々な印象を調査しました。
その結果、性別、文理系別、数学の成績別のどの角度から分析を行っても、全体的にマンガ教科書に対して好意的な評価が得られました。詳しくみると、性別では女性の方が男性よりも、よりマンガ教科書を好意的に評価しています(図2)。数学の成績別でみると、成績が中~低い群の方がマンガ教科書に対して強い興味を示し、実際にマンガ教科書を見ることでよりその傾向は強くなりました。
図2.男女別のマンガ教科書とイラスト教科書への好感度
今後はこれらの結果をさらに混合して分析することで、それぞれの属性の特徴を明確にし、マンガ教科書が有効な学習となる対象者を絞ることで、効果的な内容作成へもつなげていきたい。また、本実験で作成したマンガ教科書を用いた実践研究も行っていく予定です。
(CRET連携研究員 周村 諭里)
2016-09-30
相川 充
赤堀 侃司
柳沢 昌義
加藤 由樹
周村 諭里
加藤 尚吾
竹内 俊彦
舘 秀典
稲垣(藤井) 勉
澤海 崇文
北澤 武
若山 昇
宇宿 公紀
安西 弥生
外山 美樹
湯 立
長峯 聖人
三和 秀平