CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本教育工学会2016年度第32回全国大会 研究発表報告
「クリティカルシンキングの能力測定のための適応型テスト」

2016年9月17日に大阪大学 豊中キャンパスで開催された日本教育工学会2016年度第32回 全国大会に参加し、「クリティカルシンキングの能力測定のための適応型テスト」と題して、基盤設計研究部門で行った実験結果を発表しました。

 

現代社会にはいろいろな情報があふれているので、意思決定を的確に行うには、多くの情報を十分に吟味して体系的に理解する必要があります。このため、クリティカルシンキングは不可欠です。クリティカルシンキングとは、先入観に囚われず、論理的に考え、合理的な決定を導き出す能力と意思です(若山 2009)。

 

さて、テストの形式は、「手書きテスト」⇒「マークシートテスト」⇒「コンピュータ・テスト(CBT)」⇒「コンピュータ適応型テスト(CAT)」と大きく変化する潮流にあります。実験参加者の解答をもとに、試験問題の難易度・識別力を確率論的に計算で求めることができる理論を、項目反応理論(IRT)といいます。試験項目や受検者集団に依存することなく能力や難易度・識別力を算出できるので、異なる試験問題でも同一の尺度上で受検者を評価することが可能となります。また、コンピュータ適応型テスト(CAT)とはコンピュータで実験参加者の解答内容から、その能力を瞬時に高精度で計算し、その次の出題では最も適切な問題を逐次的に、瞬時に選別して出するテストです。複数回テストを受けても同じ基準で評価が可能になり、これまでに、TOEFL、ITパスポート、SPIなどで既に利用されています。

 

この研究は、クリティカルシンキングの適応型テスト(CAT)を開発するために、クリティカルシンキングの問題群(アイテムバンク)を作成して、有効性を確かめることです。大学生736人のデータをもとにシミュレーションした結果、このクリティカルシンキングの試験において乱数による出題よりもコンピュータ適応型テスト(CAT)による出題の方が早く的確に能力値が推定できることを確認いたしました。

 

<参考文献>

Robert L. Linn (原著,編),池田央ら(訳) (1992) 教育測定学 上下巻, 学習評価研究所

若山昇 (2009) 大学におけるクリティカルシンキング演習授業の効果,大学教育学会誌,31(1)

 

(CRET連携研究員 若山 昇)


若山 昇 -Noboru Wakayama-

CRET連携研究員、帝京大学 法学部 教授

趣味:温泉、水泳、旅行、散歩

「それってホント? なぜ、本当?」と、クリティカルシンキングしています。
研究テーマはクリティカルシンキング。
紹介Webサイト:http://www.e-campus.gr.jp/staffinfo/public/staff/detail/125/20

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