CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本テスト学会第8回大会 発表報告
~21世紀スキルとしての問題解決力と国際的な評価の枠組み~

 CRETでは、21世紀に求められる能力に関して、継続的に調査研究を行っています。このたび、その成果を日本テスト学会第8回大会企画セッション にて発表しました。「スキルを測る」という大会テーマの下、「問題解決力評価と育成教材」というテーマの企画セッションです。会場には70名程度の研究者や教育関係者が集まりました。本稿では、OECDのDeSeCo*1 のキーコンピテンシーの策定プロセス*2 を中心に、発表内容について報告します。

 テクノロジーの進化やグローバル化が加速する現代では、ルーチンワークはコンピューターに代替され、人が従事すべき仕事では、状況場面に応じて柔軟に判断する力など、より高次な能力が求められるようになってきました。国際的にも、1980年代からそのような要求能力の変化について議論が始まりました。
 OECDでは、1997年から2002年にかけてDeSeCoというプロジェクトで、経済、政治、社会、家族、個人などいずれの領域にも妥当なコンピテンシーとして、3つのキーコンピテンシー*3 を定めました。このキーコンピテンシーは、PISAなどOECD国際調査の根底に流れる理論として活用されています。
 DeSeCoプロジェクトは、当時の、スイスSFSO*4 のHeinz Gilomen氏、アメリカNCES*5 のEugene Owen氏、OECDのBarry McGaw氏、Andreas Schleicher氏、そして、2000年からはカナダStatistics CanadaのScott Murray氏が加わって推進されました。前半は、OECDの既存報告書のレビューや、教育者、経済学者、心理学者などさまざまな領域から専門家の知見を収集し、1999 年10月、スイス・ヌーシャテルでの第一回DeSeCo国際会議にてレビューの結果を発表しました。2000年からは、OECD加盟国各国からの意見を募りました。うち12か国*6 がレポートを提出し、それらを加味した内容が、2002年2月、スイス・ジュネーブでの第二回DeSeCo国際会議で報告され、2002年に最終レポートがまとめられたのです。DeSeCoプロジェクトは、4つの公式レポート*7 を発表しています。

DeSeCoのキーコンピテンシー発表後、EU、アメリカ、日本などが、それぞれ能力枠組みを提言しています。専門知識や特定教科の枠を超えて、状況に合わせて必要な知識やスキルを引き出す能力*8 としてのコンピテンシーの意味を正しく理解し、その評価と育成について考えていきたいと思います。

*1 THE DEFINITION AND SELECTION OF KEY COMPETENCIES
*2 出典:DeSeCo Background paper , Revised (2001)
*3 「相互作用的に道具を用いる」、「異質な集団で交流する」、「自律的に活動する」。
*4 Swiss Federal Statistical Office
*5 National Center for Education Statistics
*6 オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スイス、アメリカ
*7 Projects on Competencies in the OECD Context: Analysis of Theoretical and Conceptual Foundations (1999), Comments on the DeSeCo Expert Opinions (1999), Definition and Selection of Key Competencies (2000), Defining and Selecting Key Competencies (2001)
*8 出典:THE DEFINITION AND SELECTION OF KEY COMPETENCIES Executive Summary 

 

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(CRET研究員 星 千枝)

星 千枝 -Chie Hoshi-

CRET研究員

趣味: ランニング、テニス、温泉、グルメ

研究テーマ: 教育とテクノロジーを組み合わせて(EdTech)、新しい学びを創出すること。「教科×プログラミング」の指導内容と評価手法を開発し、現場での実践に取り組んでいます。

研究発表論文

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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