CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

The 12th Biennial Conference of Asian Association of Social Psychology 発表報告
~Differences Between the U.S. and Japan in Impressions Toward Shyness: Factors Affecting Good or Bad Judgment~
(シャイネスに対する印象の日米比較―良否判断に影響を及ぼす要因の検討―)

 ニュージーランドのオークランドにて、2017年8月26日から28日にかけて開催されたThe 12th Biennial Conference of Asian Association of Social Psychologyに参加しました。

 

 オセアニアに降り立つのは今回が初めてで、ニュージーランドは日本との時差が3時間しかないため、時差ぼけはあまり感じませんでした。ですが、南半球に位置しているので季節が逆転しており、8月だというのに上着を取り出して空港に向かうのは新鮮でした。

 宿泊地から大会の会場までは少し距離があり、タクシーを利用するしかなかったのですが、大会参加者から便利なアプリケーションを教えてもらいました。それはUberというもので、自分のいる場所をGPSによってタクシーの運転手に知らせると、数分後にタクシーが迎えに来てくれるというシステムです。日本ではUberは制限が厳しく、あまり利用されていない一方、海外ではこのような便利なシステムを利用することができ、海外に来ることのハードルが少しずつ下がっているように感じました。

 

 さて、私たちの研究グループは26日の14:40から15:40まで「シャイネスに対する印象の日米比較―良否判断に影響を及ぼす要因の検討―」という内容で口頭発表をしました。

 

 発表内容は、シャイネスに対して人々が持っている印象を日本とアメリカで比較したというものです。大規模なオンライン調査を行い、両国の人々がシャイネスに対してポジティブもしくはネガティブな印象を持っているかどうかを検討しました。これまでの研究では、特にアメリカにおいてシャイネスはネガティブなもの、改善すべきものとして扱われていました。しかし、日本においてシャイであるということは、そこまで悪いことではないのではないかという考えに基づいて、今回の調査が行われました。シャイな人というのは、公の場においてあまり発言をしない傾向があり、場面や状況によっては謙虚な人、もしくはかわいらしい人と思われたりするからです。また、そのような良否判断(シャイネスは良いもしくは悪いものであるという判断)と結びつく要因を多変量解析により明らかにしました。

 主な結果として、我々の予測とは逆の傾向が観測されました。つまり、日本人よりもアメリカ人の方がシャイネスに対してポジティブな印象を抱いていました。この結果を解釈するのは困難です。なぜなら、先行研究では日本においてシャイな人に対してポジティブな印象が持たれているということが、ある論文で示唆されているからです。

 このような発表内容であったため、聴衆の多くが興味を持ってくださり、発表時間が足りないくらいに質問をいただきました。発表セッションが終わってからも、会場の外で我々の研究に関して一部の研究者と議論が続き、今回の結果がいかに予想外でインパクトが大きいのかを感じることができました。

 いただいた質問の例を挙げると、シャイネスに対するイメージは世代によって異なるのではないか、場面や状況が変われば評価も変わってくるのではないかという重要な指摘をいただきました。さらに、そもそもなぜアメリカ人の方が日本人よりもシャイネスを肯定的に捉えているのか、理論的な説明をしっかりとつけたほうが良いという、研究結果を解釈する際の基本に立ち返って議論することもでき、大変有意義な研究発表をすることができました。

 

 ニュージーランドは多民族国家で、町中では非常に多くのアジア系移民と触れ合うことができました。タクシーの運転手をはじめ、レストランのスタッフなどはインドや韓国、中国から来た人が多かったように思いました。日本に住んでいるとなかなか体験できないような異文化体験ができ、海外に定期的に行くのは刺激を得ることができるため、これからも続けたいと思います。

 

Differences Between the U.S. and Japan in Impressions Toward Shyness:
Factors Affecting Good or Bad Judgment

(澤海 崇文・稲垣 (藤井)  勉・相川 充)

 

(CRET連携研究員 澤海 崇文)


澤海 崇文 -Takafumi Sawaumi-

CRET連携研究員、流通経済大学 社会学部 助教

趣味: テニスやヨガなどで定期的に体を動かすようにしています。語学学習にも励み、海外旅行も人生の楽しみの一つです。

研究テーマ:対人コミュニケーションやパーソナリティに興味があり、それらの比較文化研究が専門です。

研究発表論文

2017-07-31

教育テスト研究センター年報 第2号 2017年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

舘 秀典

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

林 楚悠然

黒住 嶺

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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