CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本教育心理学会第58回大会 発表報告

制御適合はパフォーマンスを高めるのかⅡ?―制御適合の種類とパフォーマンスのタイプ別の検討―
プロセスフィードバックが動機づけに与える影響―制御焦点によって調整されるか?―

2016年10月8日(金)から10月10日(日)にかけて香川県高松市(サンポートホール高松・かがわ国際会議場)で開催された日本教育心理学会第58回大会に参加し、発表を行いました。会場ビルの2階にのぼると、鰯雲の浮かぶ秋空と瀬戸内海の美しい姿が目の前に広がり、開放的な気分に満たされました。このような環境の中で、3日間とても気持ち良く大会に参加し、発表することができました。

 

今回の発表は、三和研究員・黒住研究員・長峯研究員・相川理事と連名で、外山研究員は、1日目(8日)に「制御適合はパフォーマンスを高めるのかⅡ?―制御適合の種類とパフォーマンスのタイプ別の検討―」というタイトルでポスター発表を行いました。私は、3日目(10日)に「プロセスフィードバックが動機づけに与える影響―制御焦点によって調整されるか?―」というタイトルでポスター発表を行いました。

 

相川研外山班では、「コンピュータ画面上での問題解決を動機づける方法について」を大きな研究テーマとして掲げており、「制御焦点」に着目した研究を進めています。1日目の発表は、先月に開催された日本社会心理学会第57回大会で発表した研究の続きでもあり、パフォーマンスのタイプ(速さ、正確さ)を考慮したうえで、制御適合の種類別(促進焦点と熱望方略、防止焦点と警戒方略)に制御適合がパフォーマンスに及ぼす影響について検討することを目的としました。点描写課題を用いて検討を行った結果、防止焦点が活性化された状態で、警戒方略を使用すると制御適合が生じ、警戒方略に合致したパフォーマンス(本研究では、正確さ)が高くなることが示されました。しかし、促進焦点が活性化された状態で、熱望方略を使用すると制御適合が生じ、熱望方略に合致したパフォーマンス(本研究では、速さ)が高くなるという仮説は支持されませんでした。

 

3日目の発表は、他者からのプロセスフィードバック(本研究では、課題遂行中重視された方略に対するフィードバック)が動機づけの持続に与える影響は制御焦点によって調整されるかについて検討することを目的としました。目標追求プロセスにおいて、個人の志向性(制御焦点)のほか、他者からのフィードバックが個人の次の活動への動機づけに影響を与えることが考えられるため、その点について検討を行いました。その結果、促進焦点が活性化された状態でポジティブなプロセスフィードバックが与えられた場合、および、防止焦点が活性化された状態でネガティブなプロセスフィードバックが与えられた場合において、次の課題への動機づけがより高められたという結果が示されました。このように、動機づけを高めるために、個人の志向性に応じて異なるフィードバックを行うことはより有効であることが示されました。

 

教育心理学会は、教育心理学や関連領域を専攻された方や教育現場の実務に関わる方などが集まる学会であるため、発表の時間にお越しいただいた方には、制御焦点の研究に興味のある研究者の方もいらっしゃれば、教育実践に関心のある方もいらっしゃいました。結果の考察に関して示唆に富んだご見解、また教育現場の立場からの貴重なご意見を伺うことができ、今回の発表は多くの実りがあるものとなりました。

 

教育心理学に関する研究による教育現場への貢献はどうあるべきかについては、昔から指摘されている課題でありながら、今年度の教育心理学会のシンポジウムにおいても度々取り上げられていました。この問題を意識しながら、今後の研究を進めていきたいと考えています。

 

 

制御適合はパフォーマンスを高めるのかⅡ?

―制御適合の種類とパフォーマンスのタイプ別の検討―

(外山 美樹・長峯 聖人・湯 立・三和 秀平・黒住 嶺・相川 充)

 

プロセスフィードバックが動機づけに与える影響

―制御焦点によって調整されるか?―

(湯 立・外山 美樹・長峯 聖人・三和 秀平・黒住 嶺・相川 充)

 

(CRET連携研究員 湯 立)


湯 立 -Li Tang-

CRET連携研究員 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 博士後期課程

趣味: 旅行、読書

学習の動機づけや自己調整に興味を持っています。特に興味の発達について研究を行っています。

研究発表論文

2016-09-30

教育テスト研究センター年報 第1号 2016年9月

相川 充

赤堀 侃司

柳沢 昌義

加藤 由樹

周村 諭里

加藤 尚吾

竹内 俊彦

舘 秀典

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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