CRETのコラム Colomn

CRETから、最新の教育・テストに関する世界の動向などをコラムとしてお届けします。

CRET/BERDシンポジウム2016

教育テスト研究センター(CRET)/ベネッセ教育総合研究所(BERD) 理事長 新井健一

 

CRET/BERDシンポジウム2016去る3月7日に、「新課程で求められる資質・能力の育成と評価」と題してシンポジウムを行いました。新課程や高大接続システムの骨格が見えてきた今、具体的にどのように考えて取り組んだらよいのかという視点で、2つの講演とパネルディスカッションを行い、有意義な議論の機会となりました。

 

一つ目の講演は、国立教育政策研究所の白水始先生と東京大学の齋藤萌木先生による「思考力・判断力・表現力や協調問題解決能力と評価」です。「思考力・判断力・表現力」は学力の3要素のひとつであり、その評価のあり方は高大接続でも課題となっていますし、「協調問題解決能力」はPISA2015の調査分野になっています。二つ目の講演は、放送大学の中川一史先生と日本教育大学院大学の北川達夫先生による「Learning to Learnの可能性と課題」です。Learning to Learnは聞きなれないかもしれませんが、キーコンピテンシーのひとつで、学力の3要素のうち、学習意欲や学び続ける力に関係するものです。フィンランドで開発されたテストを日本で初めて実施し、その結果を考察しました。実施に協力いただいた学校の校長先生から臨場感のある現場の様子が報告され、理解を深めることができました。二つの講演を踏まえ、パネルディスカッションでは筑波大学の相川充先生を交えて、ご来場の皆さまからの質問に回答しながら議論を深めていきました。具体的な評価方法や教員研修のあり方などについて多くの質問が寄せられ、参加者の皆さまの意識の高さを感じました。相川先生からは、情意面の自己評価を国際比較することの難しさについて指摘があり、潜在的な態度測定の研究について紹介がありました。登壇者間での質疑もあり、予定調和的ではないライブ感のある議論の場となりました。

 

学力の3要素にはもうひとつ「基礎的な知識・技能」がありますが、この評価方法にはすでに多くのノウハウがあり、知識の確かさを評価するための多様な出題形式が開発されているため、今回のシンポジウムでは扱いませんでした。一方、今回取り上げた2つの要素は、どのような視点から何を評価するのかということの理解が重要ですので、出題形式分類をしても本質的ではありません。これらの理解には、評価のあり方についての新たなマインドセットが必要になり、評価観を変えていくことが求められるわけで、そこに今回のシンポジウムの意図がありました。学習者中心の学びの実現、評価のための評価ではなく学習のための評価とは言うものの、具体的にどうしたらよいか。今回のシンポジウムではまとめはしませんでしたが、中教審の答申が出るまでの間のこの時期に、関係者それぞれが主体的に考えるきっかけとなれば、今回の試みは成功であったと思います。さて次は、PISA2015の結果を取り上げて今回の議論と対比し、さらに議論を高めたいと考えていますので、引き続きご期待ください。

(2016.4.7)

 

◆シンポジウムのプログラムおよび当日資料はこちら
[イベント]CRET/BERDシンポジウム2016 ~新課程で求められる資質・能力の育成と評価~

 

◆シンポジウムの講演内容をまとめたPDFはこちら
pdfシンポジウム講演まとめ (530KB)

 

新井 健一 -Kenichi Arai-

教育テスト研究センター(CRET) 理事長 / ベネッセ教育総合研究所 理事長

コラム

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2013-12-10

PISA2012からの示唆

新井 健一

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